様々な原料との出会い

秋、ですね
生物たちは脂肪を蓄え冬に備える重要な時期です。
特にエビは水温も下がり活動的になります。今からでも遅くありませんので脂質を含むエサ(上日の丸弁当)を与え、季節を考慮した給餌を心がけてください。

さて、一般的に我々が飼育している観賞魚・熱帯魚には魚食性もいれば植物性、雑食性もいます。
大体目に触れやすい魚種で言うとグッピーやカラシン、ローチ、シクリッド、めだか、金魚、シュリンプ類などが手に入りやすい観賞魚になります。大型魚を除き大体が魚食性ではないものが主体といえます。
金魚やメダカは比較的消化管が長めの部類に入ります。という事は、植物性の食物も食べる事が多い雑食性であることが分かります。単に消化だけを考えるなら動物性原料の方が消化が早い訳で、だからと言って動物性原料を主原料とするのは体構造から言って良い傾向とは言えません。そもそも、金魚もメダカもフィッシュイーターではありません。主に植物プランクトンやミジンコ、小型の昆虫など様々な物を主食としています。であれば、魚粉を主原料とするよりも副原料としてとらえた配合にするのが本来と考えます。
本来食べることない物を代替え原料として使用し、日持ちする完全な総合食を作る。これが私が取り組んでいる仕事です。その中で選択する原料が魅力的であり、理にかなった配合である事が求められます。難しいよね~
周りは中小から大手まで様々な企業が四苦八苦して製品化している中、いかに埋もれずに残れる商品化ができるかが課題です。厳しいよね~

原料にもいろいろありますが魚種によって使う使わない原料ももちろんあります。シュリンプ類で言えばリン脂質を含む脱脂されていない原料を使用します。逆に魚類では脱脂された大豆粕などを選択します。
他社が使用しない原料を見つけるのは非常に難しく、又、給餌実験にも時間を要するので大変な作業です。以前販売しておりました金魚用の餌でDDGS(トウモロコシ蒸留粕)が使用されていました。上日の丸弁当に配合して使用していましたが仕入会社が取り扱いを止めてしまい取れなくなってしました。トウモロコシなので黄色色素が含まれ、澱粉は含まれませんがそれ以外が凝縮して含まれるとても扱いやすい原料です。主に豚や牛、鶏に与えると黄身が黄色くなることで色揚げとして重宝されています。残念ながら仕入れができなくなったDDGSですが知り合いを通して紹介していただき仕入れることができるようになりました。決して安い部類には入らない原料ですが差別化していく上でも面白い原料なので採用しています。

植物性原料は確かに消化が良い方ではありませんが、だからこそどういった配合率にするのかが大事になってきます。金魚にしてもメダカにしても一番重要であり、いかに好影響を与える配合を見つけるかがカギとなります。
現代は配合に関する書籍も多く、意外と歴史ある分野なので基本は比較的簡単に抑える事はできます。それを背景にどう新しい物を採用し良い影響を与えるものにしていくのか。ただただその繰り返しとなる地味~な作業です。

酒粕粉末とか面白いと思いませんか?熱処理で乾燥させるのでアルコール分は飛びますし、更に加水してエサに加工しますので問題はありません。非常に高額なので少量しか配合できませんが含まれる栄養はとんでもなく魅力的です。
アルコールと言えば、金魚や鮒は乳酸からアルコールを自ら生成し水面が凍結した無酸素域でも数ヵ月は生き続けるそうです。面白いですよね。

私が特に力を入れているのは昆虫類の原料です。今はハエ幼虫粉末とさなぎ粉末の二種類を採用していますがもう数種使用できないかと考えています。さなぎ粉は歴史も古くからあり錦鯉ですでに業績もありますし、何より釣り餌として採用されているのが大きいと言えます。油分が多く増体に対し効果的な原料です。
ハエの幼虫はとても面白く、自ら抗菌効果を高める事で汚いあの環境下でも生きていけるという所に魅力を感じました。周りが汚いなら自ら抗菌してしまえばいい!って面白いよね~。実際錦鯉での給餌実験でも免疫賦活効果を上げているそうでエビ、金魚やメダカにも期待できると私は考えています。まだまだこれからの分野なので非常に高額な原料ですが供給量が増えてくれば安定していくと思われます。

小麦粉は良くなくて小麦胚芽はいいとか、浮きエサはだめで沈むエサは良いとか様々言われています。が、そもそも我々が飼う魚種はサンマやマグロなどではありません。私たちが飼う魚種は小麦粉などの植物性原料も有意義に利用できる雑食性です。むしろ配合に選択する方が良い結果を生みます。製造方法で高温・高圧で膨化したエサは浮きエサになります。これは高温、高圧でα化澱粉になり消化が良くエネルギー効率も上がります。
消化の良し悪しは配合で変わる物で、それぞれが良い悪いという判断をするべきではないし、判断も本来できません。裏の原料名を見て知ったように消化が良い悪いを言えるような物ではなく参考程度でしかないということです。そもそも配合率なんて書いてないですから。ただ、どれもこれもいったい何が違うんだろう?皆さんそう感じませんか?私自身感じます。魚粉・大豆粕・小麦粉ほぼこれじゃないですか?まあ、やればわかるんですが事故りにくい配合ってやつです。この件はまた機会がありましたらお話します。

まだまだ様々な原料があり挙げるとキリがありませんのでまた次回紹介していければと思います。

Ebita Breed

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