品質と本質

 糠(ぬか)、この糠、非常に雑菌が繁殖しやすく扱いが大変です。そして、おから、これもまた雑菌の繁殖がものすごいスピードで秒分単位で考えなければならないほどです。
実はこれが問題になっていまして、以前、大豆加工工場を訪れオカラの処理についての提案で弘前市にある地元では有名な食品会社に行った事がありました。
 このオカラ、一部は食品加工され卯の花として販売されます。しかし、毎日毎日何トンものオカラがでるわけでとても食べきれる量ではありません。家畜の餌に利用できないか?ところがオカラは出てきた瞬間から雑菌の繁殖が始まり輸送段階で規定を超えてしまう場合があり、到着後も保存がきかないなど諸々問題があります。その為、乾燥オカラとして保存がきく状態にするわけです。しかし、ここでも問題があります。乾燥させるために大量の燃料が必要となり、対経費の採算が合いません。又、大量に乾燥オカラが余り続けていってしまいます。結局のところ廃棄するのが一番となってしまうわけです。廃棄料もバカになりません。

 今ではすっかり代表的な拓洋水産のムックリワーク、ミジンコの餌です。そもそもは錦鯉資材でありその応用品を自作しそのままエビ用として流用したのが微生物のなんとかの始まりです。
 アクアリウムにおいて雑菌=バクテリアとして単純に考えてはいけません。良い菌も悪い雑菌も同じものをエサに増えていきます。必ずしも良い物だけが増えるわけではありません。私がそういった“微生物のなんとか”系を使わない理由はそこにあります。大事な生き物が病気になるようなリスクを高める物をあえて入れる必要は皆無です。バクテリア関連は自然に増えていくものの方がリスクが少ない。あえて繁殖を促す物を入れて毎回良い結果だけが出るわけではありません。

 黄な粉、これは炒ってあり熱を通しています。乾燥ぬかもそうです。少々高いですが乾燥ぬか漬けの元などがそうです。ぬか・イースト・黄な粉もしくはビール酵母これらをブレンドしたものが微生物のなんちゃらとして観賞エビ用だったりメダカ用として売られています。
 この手の物は皆さんにも作れます。内容が記載されていないから自分には分からない何か特別な物が入っているとお思いなら残念ですがほぼ黄な粉であり糠(ぬか)です。仮にミロネクトンなど様々なブレンドだとして、耳かき一杯水槽に入れて浄化されるとでもお思いでしょうか?何故それで脱皮不全が解消されるのでしょうか?メカニズムは?毎日耳かき一杯水槽に糠や黄な粉を入れて満足ですか?

 悪いとは言いませんが誰でも作れてしまったり、効果が薄く非科学的だったり、質の低い商品が非常に増えています。それらが既存の専門ショップやメーカーの損害となっていることに気が付いていません。プロとアマチュアが同列ならあえてプロショップに行く理由が無くなってしまいます。これからどんどんフリーランス、副業が増え、個人レベルでのアマチュアショップが増えていきます。近くて安価なアマに流れてしまうのは当然の流れです。
 インターネットによる販売は顔が見えません。見栄えするサイトに〇〇研究所、研究所所長なる画像があれば信用もしてしまうのでしょう。しかし中身を見れば住所は存在しない、売っている物は宗教的、原料名も一切無し。amazonでもメダカの事を考え!なんて書いてますが中身は「おとひめ」、日清丸紅が真鯛やブリ、ふぐの事を考え製造したエサです。それでも何の躊躇もなく買ってしまいます。個人でも良い物も確かにあります。その見極めが不安なら専門のアクアショップでご購入ください。特定商取引法を無視した販売をツイッター上で行ったり、偽物を送りつける中国人だらけのamazonではなく、既存のアクアショップで購入された方がよほど信用できます。

 市場の質低下で良い事など全くありません。非科学的で根拠のない商品、突っ込んで返ってくる答えは否定者排除と囲い作り、臭い物に蓋をしてもいずれ手を付けられない状態に陥ります。そういった環境づくりを怠ってきたのは問題です。
 質の向上は我々メーカーやショップにとっても、何よりお客様にとっても良い結果につながります。
「誰でも作れる物から自分にしか作れない物へ」これが本来の姿と思うのは私だけではないはずです。

Ebita Breed

ebitabreed.com

小さなアクアメーカーEbita Breed