バクテリア剤の種類

 巷では様々な”バクテリア剤”が売られています。大手もあれば個人もあり様々です。何をどう使えばよいのか混乱してしまうのではないでしょうか?
 一般的に大きく分けて「硝化菌・脱窒菌」と「水質浄化」この二つが大半ではないかと思われます。では、これらはどういった場合に使う物なのか?ここでは淡水の場合について簡単に解説させていただきます。

 まずは硝化・脱窒を考慮したバクテリア剤です。
 ニトロスピラをどうやって瓶詰めしているのか私には分かりません。入っている事を確認しただけなのか?本当に容器の中で生きているのか?保存に関しては?特許申請中?ま、その話は置いといて、各社今できる限りの技術で製品化されていることでしょう。というより、するしかないという言い方の方が正しいのかもしれません。
 製品化されている消化菌は主にニトロソモナスやニトロバクターとなりますが前回の記事でも書いた通りニトロバクターは水槽内で活動していないとの結果が出ており、テトラも同じ研究結果ですでに製品化されているようです。ニトロソモナスはアンモニア酸化細菌ですがニトロスピラ属には亜硝酸酸化細菌とアンモニア酸化細菌が存在します。前回記事にした完全硝化細菌はアンモニアから硝酸を生成します。
 脱窒菌に関してはそもそも菌種が限られており比較的容易に製品化しやすく各社同じような結果が得られるのではないかと思います。が、調べたわけではありませんのであしからず。脱窒菌は飼育水が完成した後に入れると良いでしょう。定期的に硝酸塩を計り水替えを行えば入れる必要もないかもしれません。定着できるかは皆さんの水槽環境により異なり必ず効果があるわけではなく、条件が合えば定着できるとお考え下さい。
 これらは水槽立ち上げ時に入れる製品がほとんどで、大手の物はだいたいこれがバクテリア剤として販売されているはずです。テトラ製品はその点で一歩進んでおり他社も後追いすることになるでしょう。私もテトラ製品は子供のころから使用しており信用できるものと思っています。ただし、必ず定着できる保証はありません。pHや温度、活動するに当たり必要となる様々な栄養素などが足りない場合は結果が得られない事もあります。これらは環境に左右される部分が多く絶対はありません。そこを理解した上でご使用された方がよいでしょう。

 「水質浄化剤」これが一番皆さんを悩ませているのではないでしょうか?疑似科学と言われる物が多く存在する分野です。これについて一部すでに記事にしています。水槽内で硫化水素が出るから浄化の為に入れろと、ごく普通に維持してれば硫化水素など発生しません。不安をあおり買わせる手法です。これらは水槽内で定着しません。
 非常に多いのがバチルス属を利用した物、皆さんもご存知納豆菌もこれに入ります。熱を加えても生き残りそれらをエサとしてゾウリムシなどが沸くのを以前記事にしました。簡単には死なないので製品化しやすいのです。一部脱窒にも関わっていますが水中において原生動物のエサとなる以外にも菌種によって様々働きがあるようです。又、個人でも作れる物として大部分を占めるのはえひめAIのような酵母・乳酸菌・納豆菌などの発酵培養物。

 それら菌を入れて何故水質浄化へつながるのか?
 それらがエサとなり、もしくは食べられやすい有機物が増えそれを食べて微生物が増え、各所にフロックが見られると見栄えが悪くなります。
 そこへ鞭毛虫・繊毛虫・肉質虫などの原生動物が入るとそれらを食い尽くし更にそれらを食べる後生生物が増えます。更にそれを魚類が食べます。汚いフロックは無くなり一見綺麗になったように見えまさに水質浄化?である。全てはこの食物連鎖を利用したものであり、最初の餌と後の餌を入れているだけです。
 簡単に言えば、微生物の餌を入れて食物連鎖を利用した浄水場のミニ版を行っているに過ぎません。各製品により特色はあれど原理はほぼ同じです。原生動物は安価な顕微鏡でも見る事ができ、これらが含まれる微生物資材を一括りにバクテリア剤として売られているのが混乱を招いていると思われます。
 混乱を招くのも仕方がない部分もあります。それはメーカー側があやふやな説明しかしていない事です。何が入っていて、どう働き、どう良いのか?単に水質改善やら水がピカピカやら煙に巻く書き方しかしていません。長ったらしい説明で最後は企業秘密で逃げきります。そのあやふやさから何かすごいものにより良い結果がでるのではないか?という勝手な期待と思い込みをお客さんはしてしまいます。又、正に本当の事のように一見詳しく書いてあっても中身は疑似科学であったりします。それを読んで「なんかすげーマジ本物~」などと思ってしまうのです。

 ではそれらが本当に必要なのか?何の細菌?何の微生物類が含まれるのか?複合なのか?そこを理解したうえで自分の水槽の現状に合っているのか?それを分からずに入れてしまえば失敗につながります。良くも悪くも何も起こらない物はほぼ意味を成しません。良く思えば良い、悪く思えば悪い、全ては使った人の御心なのだ(笑 ただし、腐敗した微生物資材は生体へ病気を引き起こす原因となります。腐らない物などありません。必ず変化、変質はします。

 皆さんがそれを必要であると考えるなら使えばよいでしょう。硝化・脱窒菌であれば大手の物が間違いが少ないと思います。専門のアクアショップへ行けば沢山選ぶことができます。
 水質浄化剤を使用する際は何故そのような水質へなったのか?そこまで悪くなる根本を除かなければ繰り返しにならないでしょうか?経験上その場しのぎの管理は長くは続きません。まず悪い状態へなったらリセット、もしくは大量の水替えや環境改善を行うべきです。細かく言うと、ろ過材や機材の変更、水槽内の水草や岩石の変更やあらゆる物の洗浄です。面倒かと思いますが結局やるはめになる事が多いです。

 完全硝化菌の製品化ができれば亜硝酸が出ない水槽も夢ではないかもしれません。それまでにはまた様々な情報が出てきて疑問が解消されていく事でしょう。残りの人生でどこまで見れるのか知ることができるか分かりませんが歴史の教科書が変わるように世の中は変わっていきます。自分自身の頭も更新していかなければ、温故知新も大事ですが古い情報にばかり振り回されてはいけません。

Ebita Breed

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