日の丸弁当はエビタブリードにとって何より重要でスタートであった餌でもあります。
当時は開発の為に多くのエビを犠牲にしました。今でも私を見上げ警戒するあの目は忘れられません。その中の一つに脱皮に関する実験があります。
同腹の13mm前後のレッドビーシュリンプ8匹を同じ水槽内にボックスへ入れ隔離し1か月間エサ切りします。4匹ずつAグループにはほうれん草のみを20日間与え、もう片方Bグループの4匹にはイカ肝末・大豆レシチン・小麦グルテンミールの練りエサを20日間与えます。それぞれ1匹ずつの隔離はそのままです。
ほうれん草のみを与えたAグループの脱皮は1度もありませんでした。イカ肝末・大豆レシチン・小麦グルテンミールを与えた方の脱皮は4匹とも2回でした。ただし、私が観測できていた部分だけであり、夜中に脱皮して抜け殻を食べてしまっている可能性はあります。そうだとしても私が知りたい内容は十分すぎる結果でした。成長にも大きく差が出て約2mmほど体長に差が出ています。当時ブログに書いた所実験のやり方に指摘があり何度かやり直しました。しかし、ほぼ同じような内容です。ほうれん草のみの方は死にはしませんが成長もせず、しかし体色は良かったのを覚えています。エサの与え方や成長度合いの調整で綺麗に仕上げる事もできると考えたものです。
もう一つはストレス耐性の実験で昭和電工さんの安定型ビタミンCを与えたエビと与えないエビの水温を徐々に上げてどの程度耐えられるかを行いました。これも与えた方が長く生きていましたが今にして思えばよくこの実験をやれたなと思います。
その中で当時エサに配合予定であったSG5000(九州メディカル社製)というエビ専用の添加剤がありそれを与えたレッドビーのPCR検査を行いました。WSDVの検査ですが当時ではたぶん私が業界初と思います。ま、いずれも陰性だったので何の結果も得られませんでしたがエサとして与えて10日ほどで体内にて安定し効果が表れ始めるとの事です。
様々やる中でカルシウムの必要量がどの程度なのか結局的確と言える量は未だに分かりません。しかし、淡水エビにおいての水中濃度はさほど多くを必要とせず食べさせる方が重要であると私は考えます。どんなに与えたところで必要量以上は受け付けないのは当たり前であります。正直ここは何が正解なのか分かりません。
これらは14年前の開発当時に行った内容です。これを基礎としてエビタブリード製品のシュリンプフードの製品化を行いました。
上日の丸弁当に配合している原料は海藻粉末・フィッシュミール・エビミール・ビール酵母・大豆由来・小麦グルテンミール・発酵植物性蛋白(コーン由来)・クロレラ・イカミール・炭酸カルシウム・PowerLac(エビ用免疫賦活剤)となります。
●海藻粉末はミネラルが豊富に含まれ、単体では嗜好性が上がりませんが組み合わせによる配合でぐんと嗜好性が高まります。
●フィッシュミールは動物性蛋白として重要な原料ですが近年需要増加や資源不足により価格が高騰しております。しかしエビフードではさほど配合が多くないので今のところは問題ではありません。
●エビミール「エビが欲しい物はエビが持っている」と言いましてもレッドビーを配合している訳ではなくランゴエビを使用しています。低脂肪かつ動物性蛋白が良質でありカルシウム、カリウム、鉄、亜鉛、銅などのミネラル類が豊富でイカやエビ等の魚介類にはタウリンが含まれます。
●ビール酵母にはビタミンB類をはじめ鉄、マグネシウム、亜鉛、食物繊維を多く含み、又、嗜好性を上げるためにも一役買っています。
●大豆は脱脂していない物を使用、レシチンはリン脂質を含む脂質です。抱卵に必要であり成長には欠かせない必須栄養素です。
●小麦グルテンミールは植物性蛋白を多く含み主にエサにおいてはつなぎとして使用します。
●発酵植物性蛋白(コーン由来)はゼアキサンチンやルテインを非常に多く含み体色の維持向上に役立ち腸内の環境を整える効果もあります。
●クロレラは皆さまもご存じの通りですが生きたクロレラを与えたことがありますか?ものすごい勢いでがっつきます。稚エビの生存率が悪いとお感じの方は生クロレラを使用してみるのも手です。ビタミンABE全て含まれ葉酸、核酸などあげるとキリがないくらいの栄養素が含まれます。
●イカミールは中でも非常に重要で動物性コレステロールを与える為に配合します。脱皮ホルモンの分泌には必須であり脱皮不全を防ぐ最も重要な要素です。
●炭酸カルシウムは殻を丈夫にするため欠かせないカルシウムです。
●PowerLac(エビ用免疫賦活剤)、もともとはSG5000を配合していましたが廃盤となり後継品として採用しました。いずれも九州メディカル社製です。クルマエビの消化管から分離した乳酸菌から成る死菌資材でありエビ専用の免疫賦活剤です。エビは非常に感染症に弱く全滅すらしかねない事が多々あります。腸内環境を整え免疫賦活させることを目的として配合しています。
ざっとですが上日の丸弁当配合原料の説明となります。それぞれ配合原料には意味があり配合を行っています。正解はもちろん一つではありませんが私が求めた正解は今のところこれだと考えています。もちろん日々新たな情報が入れば変えていくつもりです。是非皆さまが与えているエサの内容をご確認ください。当製品は専用の製造機器にて製造しているシュリンプ専用フードです。
エサを変えると食べない事がほとんどですが細かく少なく繰り返し与える事で慣れてきますのでこの機会にご検討ください。